ご機嫌な職場日記

片岡裕司 連載コラム 「『働く』を『幸せ』に変えるマネジメント」③ 2014年6月19日

このコラムでは、わたしが出会った素敵なマネジャーたちの物語をご紹介します。彼らのストーリーの中に、「働く」を「幸せ」に変えるための大切なヒントが詰まっていると思います。ぜひ、感じ取ってください。
*このコラムは実話をベースにしたフィクションとなっております。

第3回「コミュニケーションは永遠の課題」

新任部長の平山は、昇格から半年が経ち、少し物足りなさを感じていた。
課長時代は、部下からの相談に答え、お客さんのもとへ日参し、自分がこの会社の利益を稼いでいるという手応えがあった。

結果も残し、部長に昇格し、意気揚々としていた。
仲間達から、得意先から「おめでとう」と言われる毎日に、何とも言えない充実感を感じていた。

しかし半年が経ってお祝いムードが終わると、事態は一変した。
幹部会議では毎月叱責を受け、
課長の作った資料で業績状況は説明するものの、具体的に突っ込まれると正直答えようがない。「○○と課長から報告を受けています・・・」と。

ようやく手に入れた自分の城に戻ると、課長たちから得意先とのトラブルについての意思決定を次々と求められた。
総勢60名。6つの課で構成しているので、正直ストレスは課長時代の6倍だ。

「今期の着地見込みはだいじょうぶだよな」と課長に問い掛けると、「全力で頑張ります」とだけ返ってきた。詳細な資料を作って報告させたいという衝動に駆られるものの、課長時代から資料作りに時間を費やされることに憤りを感じていた自分としては、その言葉だけはグッと飲み込んでいた。


部長就任から半年後、人事が主催で新任部長研修というのが開催された。
部長就任から半年間の振り返りや取り組みの共有から研修は始まった。

最初は、抽象的に自分の身に降りかかったことを共有する。
何とも言えない照れくささがあったが、皆が同じような事で悩んでいることに正直ホッとした。
会議で叱責され、課長の報告遅れに振り回されている、と・・・。

しかし、ファシリテーターという司会役が
「もっと具体的な行動について話してください。」と促してきてから状況は変わった。
100人の部員全員と面談した。
自分が大切にする価値観を紙にまとめ、それを少人数で共有する会を何回も開いた。
課長たちとの合宿も行った。

皆が色々と工夫して行動を起こしている話を聞き、私は恥ずかしさを覚えた。
研修資料にあったが、私のような部長を土管型というらしい。本部長に「売り上げは大丈夫か?」と問われれば、そのまま課長に「大丈夫か?」と繰り返すだけでは土管という汚名を受け入れざるを得ない。

「上級管理職はビジョンを語れ」と人事部長から発破をかけられたが、正直何も湧き上がってこない。「売上目標を達成し、何とか今年も乗り切ったと喜び合おう」では誰もついてこないだろう。

何となく問題が分かってきた。
結局、コミュニケーション不足か・・・。永遠の課題だな・・・、と。
研修の最後で、「お恥ずかしながら」と断りながら、「部下との日常会話をまず増やし、よく知るところから始めたいと思います」と宣言した。

ファシリテーターから、
「1日考えて日常会話が一番大事と考えたのですね」と質問が入った。
こりゃ失敗だったかなと思ったものの、
「恥ずかしながらそこから始めさせてください」と素直に答えた。

「では、本気で日常会話をしてくださいね。本気ですよ。必死に、真剣に。」
「毎日、毎日、本気で日常会話をしてくださいね!」と奇妙なエールを送られた。


「本気で日常会話をするって、何をするんだろうか・・・」


悩んでいてもしょうがない。行動力が自分の強みだったと思い出した平山は、
翌日の朝から自分に試練を課した。
試練と言っても大それたことではない。
毎日朝の30分を部下との日常会話に使うというだけだ。

外出の多い営業メンバーに対し、朝から矢継ぎ早に電話をした。
「おはよう!」、「元気か?」、「困っていることはないか?」、「そう言えばあの件は?」と。

3ヶ月が経過した。
朝の電話攻撃にオフィスのブラブラ歩き、とすっかり私の行動は部内で有名になっていた。
そして、平山は大きな手応えと充実感を感じていた。一人5分も話さなかったため名前と顔を覚えることもままならなかった60人と毎週のように話せるようになってきた。そして次第に、部内で何が起きているか、次にどこでトラブルが起きそうか、が見えるようになってきた。
しかしもっとも嬉しかったのは、気のせいかもしれないが、メンバーがイキイキと笑顔で働きだしているように思えたことだ。

3ヶ月前には何も思いつかなかった部のビジョンや将来像についても、もっと皆と話したいと思えるようになってきた。伝えたいことも、聞きたいことも沢山ある。短期間で自分がこんな気持ちになるとは思いもしなかった。
何とも言えない充実感だ。就任当時とは全く違う。

「コミュニケーションは永遠の課題」・・・でもなかったか。。。

END

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